第27回 地域活性化支援制度
「幸運 (グッドラック)」受賞者のご紹介

応募いただいた27先から選考の結果、受賞先7先、総額500万円の助成を決定致しました。

第27回 地域活性化支援制度目録贈呈式の様子

助成先及び助成理由

ハンディモア

代表 石本 弥生
障がい者の方に向けた介護衣類の開発・販売事業の立ち上げが、新たな雇用と産業の創出へ繋がり、地域活性化に寄与。

くれきりこ

代表 原本 司
硝子工芸の製作体験と飲食事業の組み合わせが、伝統工芸品の認知度向上及び呉エリアの観光客の誘致に繋がり、地域活性化に寄与。

toffee合同会社

代表社員 寺上 碧依
人と犬がともに快適に過ごせる場所の創出が、呉地域の魅力発信や雇用創出に繋がり、地域活性化に寄与。

合同会社ぽこぽこ

代表社員 奥村 恵
発達障害をもつ子どもたちに向けた福祉支援サービスが、呉市の子育て支援に繋がり、地域活性化に寄与。

江田島体験民泊コンベイ

代表 川本 一美
江田島市における観光事業の取り組みが、江田島地域の観光客の誘致に繋がり、地域活性化に寄与。

和 nagomi &.

代表 根石 朋美
女性専用リラクゼーションサロンの運営による、働く女性や子育て中の女性へ向けた交流機会の提供が、地域の賑わい創出に繋がり、地域活性化に寄与。

Aybi‘s café

代表 チネン ファビアン アレジャンドロ
異文化交流の場を創出する取り組みが、地域の雇用と賑わい創出に繋がり、地域活性化に寄与。

第27回助成先の選考結果講評

 第27回地域活性化支援制度「幸運(グッドラック)」には、27件の応募がありました。応募された事業内容は、①『ものづくりに関する事業』が1件、②『食に関する事業』が 7件、③『社会福祉・介護に関する事業』が1件、④『その他サービスに関する事業』が18件です。

 

 最近の応募では、呉地域の伝統産業である重厚長大型の大規模な施設、設備と人員を必要とする『ハード系ものづくり』に関連した事業案が影を潜め、『食』や『福祉・介護』、『生活に密着したサービス』、『IT・情報』に関連した事業案の応募が増えてきました。とは言え『ものづくりの精神』は継承されており、ハード系に取って代わり『生活に密着したソフトなものづくり』が増え、中にはソフトなものづくりをワンストップで行なう『産業の六次化』のような複合的な事業案もありました。これは、鉄鋼をはじめとする大規模製造事業者の撤退により、呉地域が直面する「産業構造の転換」と高齢化や猛暑、物価高騰等による地域住民の「日常生活への不安」を事業者が感じ取ったものとみられます。

 応募のあった事業案について、一般社団法人アクティブベースくれ事務局による「書面・実地確認」をもとに、第一次審査として選考委員による「書面審査」で10件に絞りました。第二次審査として令和7年10月7日開催の選考委員会において、この10件に対し「事業者によるプレゼンテーションと質疑応答」を実施しました。

審査においては、『アクティブベースくれ』の設立目的であります「呉市及びその周辺地域において、地域の活性化・振興につながる起業・新規事業(新分野進出)あるいは社会的・文化的活動に対して資金援助を行うこと」を選考委員が確認し、「起業、創業、新たな事業展開」による地域の活性化や雇用創出、新規性、独自性、新事業への熱意について厳正かつ慎重に審査を行いました。

 審査の結果、選考委員会は『助成先及び助成理由』に紹介されています7件を助成先に採択しました。今回応募された27件の事業案は、いずれも変化の激しい経営環境のなか明確なビジョンを持たれており、優劣つけがたく審査に苦労しました。審査の決め手は、社会の動きを感じ取った新規性、独自性と事業者の強い熱意でした。

 助成先として採択した7件を上記の事業内容の区分①~④にそって講評を記します。個々の事業内容、授賞理由については、「助成先及び助成理由」でご確認ください。

 

① ものづくりに関する事業

 先述したように重厚長大型の大規模な施設、設備と人員を必要とする『ハード系ものづくり』から小規模、少人数で、なかには個人で創業する『生活に密着したソフトなものづくり』へのシフトチェンジが顕著になってきました。

 『ハンディモア』の日々の福祉介護活動の中から生まれた『介護ロンパース』は、大規模事業者では気づきにくい細かな部分に工夫が施され、まさにかゆいところに手が届くようなものづくりになっています。個人だからこそ実体験から気づく既製品の不十分な部分にスピード感を持って対応することができ、さらにハンドメード、カスタマーナイズにより使いやすさを追求した改善が凝縮されたものになります。柔軟な対応ができる小規模な、また個人による『ハンドメード、カスタマーナイズ』が、これからの『生活に密着したソフトなものづくり』のキーワードになるように感じます。

 

② 食に関する事業

 単なる飲食店の開業ではなく、有機農法による食材を使い海外の郷土料理の提供にあわせ、付加的なサービスとしてスペイン語、英語の教師である外国人事業主から語学学習、文化体験等の異文化交流の場を創出することが『Aybi’s Café』の提案です。近年は、食に関する事業においても食の提供だけでなく、事業者自らが食材を育て収穫し、調理し提供する『食の六次化』のような『食』に関する複合的な事業案が増えています。こうした「サービスの複合化」がキーワードとなり、生活を豊かにし地域振興に寄与することを期待します。

 

③ 社会福祉・介護に関する事業

 色々な事情で不登校となった子供たちへの生活・学習支援や障害のある子供たちの社会参加支援など、複雑化した社会の中で様々な支援が求められています。『合同会社ぽこぽこ』の放課後デイサービスが、ボランティアによる支援を必要とする子供たちに寄り添い、呉地域にインクルーシブな場と意識を醸成するきっかけとなることを期待します。

 高齢化、人口減少が進む呉地域で、高齢者や次世代を託す子どもたちへの支援は重要な社会テーマの一つです。福祉・介護に関する事業において、公的支援を補完する形でのきめ細かなサービスの提供は、安心安全で住みやすい街づくりの推進力になります。子供たちや家族への支援、援助は、社会全体に安心感を与え人口減少の歯止めに寄与すると考えます。

 

④ その他サービスに関する事業

 これまでは、ものづくりや食、社会福祉・介護、IT・情報などのいずれにも分類できない事業案や、複合的でコアな事業種別が判別しにくい事業案を『その他サービス事業』に分類してきました。

 『くれきりこ』は、地元でとれた海鮮を食材にし、来客者が自ら作るガラス工芸の切子でグラスや食器を使って食事をする斬新な事業内容です。食事だけではなく、来客者が唯一無二の切子食器を作り、『食べる楽しみ』に加え『創る楽しみ』という異なったフェーズの楽しみが体験できる新しい方向性を持っています。食とともに切子が地域に根付き『呉(九嶺)きりこ』として新たに注目されることを期待します。

 『toffee合同会社』は、生活様式の多様化や同居家族の少人数化などによりペットを飼う機会が増え、ペットへの愛情から生まれたドッグラン&ドッグカフェを事業化したものです。ペット(生き物)へのサービス提供は、これまでのサービス概念を拡げるもので新たなビジネスチャンスを創造します。「多くのヒトが注目し関心を持つサービス提供対象を見つける」ことは、ビジネス成功の鍵になると考えられます。

 『江田島体験泊コンベイ』は、江田島の沖に位置する離島で海洋生物の観察や釣り、海水浴、浜辺でのBBQ等を盛り込んだ体験型事業です。自然豊かな地域で、自然環境という誘因だけでなく、自分(参加者)が釣った魚や地元で収穫した野菜、果物等の食材を自ら調理するなど多様なアクティビティ(体験)を加えることで、新たな観光、地域振興を創出するものになっています。自然を味方に、多様な非日常的なアクティビティを一つのパッケージにまとめることで、『体験型』がキーワードとなりビジネスチャンスが拡がり、地域振興につながることを期待します。

 『和 nagomi &.』は、ストレスの多い現代社会において、心身ともに健康を維持するためリラクゼーション(癒やし)を提供するものです。女性専用に日常生活で疲れた方へのマッサージ等のリラクゼーションサービスの提供に加え、子供連れの来客者への託児サービスやキッズスペースの設置など複合的なサービスをワンストップで提供するものになっています。ヒトに対するリラクゼーションの施術に加え、付帯的サービスの提供(託児など)といった『サービスの六次化(対象×施術×付帯)』のようなサービス(アクション)の複合化、サービスのワンストップ化は、新たな方向を示しているように感じます。

 

 大きな資本を持たない中小零細の『個』の力には限りがあります。『個』と『個』が連携・協力し『集合体』を作ることができれば、その力(影響力)はより大きなものになることが期待できます。複雑に多様化した社会において、『個』がワンストップで複合的なサービスを提供することには限界があり、地域を活性化し元気をとりもどすためには事業者の『個』の多様な力を持ち寄り『集合体』を創ることでより大きなエネルギーとなります。また、近年注目されるDX(Digital Transformation)が、産業構造や働き方、教育、生活インフラ等へ浸透することにより、ビジネスは生産性を高め、社会生活は便利になります。こうしたDXに関心を持つことは、事業者の皆さんが企業規模に関係なく、新たなビジネスチャンスを創造できる可能性を持ちます。

 事業者の皆さんの強い熱意と創意が起爆剤となり、呉地域が活性化し元気になることを期待します。

 

                   令和7年11月25日

                   選考委員長

                   松尾 俊彦(広島文化学園大学 名誉教授)

助成先のご紹介 一覧へ