第25回 地域活性化支援制度
応募いただいた29先から選考の結果、受賞先8先、総額500万円の助成を決定致しました。
第25回 地域活性化支援制度目録贈呈式の様子
助成先及び助成理由
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Blueberry Farm 呉 代表 横山 誠人 | 呉市初となる養液栽培システムを取り入れたブルーベリー観光農園とコーヒーを専門としたカフェの開業が、地域活性化に寄与。 |
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株式会社クレセント 代表取締役 秦 利宏 | 耕作放棄地はじめ地域課題解決のためのサブスクシステム導入型レモン園地再生事業が、地域活性化に寄与。 |
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Shiki Farm 代表 松本 英紀 | 古民家を再生したコミュニティスペースおよび宿泊施設となる複合型ゲストハウス事業が、地域活性化に寄与。 |
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PIN'S 代表 奥田 茉子 | 地元野菜を使用したスパイスカレー製造・キッチンカーでの販売事業が、地域活性化に寄与。 |
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三工電機株式会社 代表取締役 上川 博之 | 一貫製造工場の利点を生かしたサイクルストレージ製造・販売事業が、地域活性化に寄与。 |
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やまもと有機菜園 代表 山本 朋和 | 6次産業化を通じて地域農業の新たなハブをめざす加工場新設事業が、地域活性化に寄与。 |
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ten & ten cafecar 代表 松元 由美 | 老舗店のノウハウを活用した茶葉や世界の生豆を自家焙煎したコーヒー等のキッチンカーによる販売事業が、地域活性化に寄与。 |
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株式会社ヴァンカトル 代表取締役 西牧 竜也 | 事業承継スキームを活用した洋菓子の製造販売事業が地域活性化に寄与。 |
第25回助成先の選考結果講評
第25回地域活性化支援制度「幸運(グッドラック)」には、29件の応募がありました。応募された29件の事業内容は、①ものづくりに関する事業が 2件、②食に関する事業が 9件、③社会福祉・介護に関する事業が 1件、④その他サービス事業が 17件です。
応募された事業案は「起業、創業、新たな事業展開」を目指すものばかりで、新型コロナウイルス感染症が感染症法の分類で第5類に移行し落ち着き始めたとはいえ、社会活動が制約を受け疲弊したなかで応募され、強い熱意と創意工夫のもと起業や創業に真摯に取り組まれており、選考委員一同深く敬意を表します。
応募のあった事業案について、第一次審査として公益社団法人アクティブベースくれ事務局による「書面調査、実地確認」をもとに、選考委員による「書面審査」で10件に絞りました。さらに、第二次審査として令和5年10月10日開催の選考委員会において、この10件に対し感染症に注意を払いつつ「プレゼンテーションによる意見聴取・質疑応答」を実施しました。
審査にあたっては、アクティブベースくれの設立目的であります「呉市及びその周辺地域において、地域の活性化・振興につながる起業・新規事業(新分野進出)あるいは社会的・文化的活動に対して資金援助を行うこと」を出席した選考委員で確認し、「起業、創業、新たな事業展開」による地域の活性化・振興、雇用創出、新規性、独自性や新事業への熱意について厳正かつ慎重に審査を行いました。
審査の結果、選考委員会は『助成先及び助成理由』に紹介されています8件を助成先に採択しました。今回の助成先が8件となったのは、呉地域でネガティブな話題が散見されるなか元気さを取り戻すためで、1件でも多く「起業、創業、新たな事業展開」をめざす強い熱意を持つ事業者の背中を押す「奨励」の意味を込めました。
ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした国際間の不安定さや円安などにより、企業を取り巻く経営環境は日増しに厳しくなっています。地元呉では鉄鋼大手の事業所が廃止になり、伝統的な重厚長大型『ハード系のモノづくり』の衰退という産業構造の変革を引き起こし、地域の雇用、財政や市民生活にも大きな影響を及ぼしています。また、企業には、脱炭素化、SDGs(持続可能な開発目標)、働き方改革など、多くの課題への対応も求められています。
今回応募された29件の事業案の多くは、変化の激しい経営環境や諸課題に対応できる確かな展望を持たれており、優劣つけがたく苦労しました。審査の大きな決め手は、事業者の強い熱意と社会の動きを感じ取った新規性、独自性でした。
採択された8件を上記の事業内容の区分①~④にそって講評を記します。個々の事業内容、授賞理由については、「助成先及び助成理由」でご確認ください。
①ものづくりに関する事業
呉地域の伝統的な『ハード系のモノづくり』から『ソフト系のモノづくり』へのパラダイムシフトは、今後の呉地域の活性化を左右する重要なキ-ワードになると考えます。古くは海軍の街として発展し「大和」を作り、近年は造船、鉄鋼、航空宇宙開発などを支える『ハード系のモノづくり』で培った唯一無二の製造、加工技術は、ITやデジタル技術により心豊かにする『ソフト系のモノづくり』にシフトし受け継がれています。また、生活に密着した『食に関するモノづくり』をテーマにした応募が増えはじめ、選考委員会として新たなモノづくり分野として認識するようになりました。生活を豊かに、街を元気にする地場産業として、モノづくりスピリットを継承し大きく成長していくことを期待します。
今回の採択案の中で、『三工電機株式会社のサイクルストレージの開発』は、これまでのハード系とソフト系のモノづくり概念を融合したような事業案です。本業の電子制御盤の一貫製造技術を活かし、心豊かに余暇をenjoyする自転車の保管設備を創造した事業案で、生活に密着する夢のあるモノづくりモデルになっています。
②食に関する事業
これまでの食に関する応募の多くは飲食店を開店するだけの事業案でしたが、7、8年前から呉地域で収穫される農産物、海産物を使う(地産地消型)事業案が増えました。また3、4年前からは、自家生産物の利用やSDGsを意識して色落ちやキズ入りした農産物の廃棄ロスを無くし有効活用に取り組む事業案に拡がってきました。なかでも食材(農産物、海産物)の生産、保存、加工(調理)、さらに販売までを単独で一貫して行う事業案や異業種と連携する事業案の応募も目立つようになりました。これらの事業案を従来のように「食に関する事業」と見るか、多くのフェーズを含むため「その他サービス事業」と見るか悩ましいところです。今回の応募のなかにも多数あり、審査を難しくしました。
今回の採択案の中で、キッチンカーを使った『PIN’S』、『ten&ten cafecar』は、自家生産した食材や薬膳を使う料理の提供、廃棄ロスの解消、災害時の地域支援など単なる料理の提供だけでなく、地産地消や健康志向、SDGs対応、地域との結びつきなど、創意工夫を盛り込んだ事業案になっていました。これらの中心になる事業は『食』ですが、多種多様なサービス提供のフェーズを含んでおり、『④その他サービス事業』の対象にも考えられます。また、フレンチレストランを経営する『株式会社ヴァンカルト』が地元で人気の老舗洋菓子店を事業承継する事業案は、後継者不足に悩む事業者を買収(支援)しただけではなく、地域の仲間を支援し地域に根付いた伝統の味や技術を後世に伝える明るい話題の一つです。
③社会福祉・介護に関する事業
残念ながら今回採択はありませんでしたが、次世代を託す子どもたちへの支援や高齢化が進む呉地域での高齢者への支援は、重要なテーマの一つです。地域と連携し社会体験も可能にした子どもの自立、発達支援や、地域企業と連携し軽作業により健康寿命を維持するための福祉、介護支援の取り組みなど、幅広い業種との連携が増えています。こうした事業者が、多様性を尊重し年齢や障がいの有無に関係なく、心身ともに健康で心豊かに安心安全で住みやすい街づくりの推進力になることを期待します。
④その他サービス事業
『②食に関する事業』でも触れましたが、3、4年前から『食』をテーマにしながら『その他サービス事業』にも分類できる応募が増えてきました。その原因は、ものづくり、食、社会福祉・介護、情報サービスなどのいずれにも分類しにくいだけではなく、『農業の6次化』のような産業分類の複合(ハイブリッド)化が進み、『新たな産業分類』の創造が必要になります。形式的な話ではありますが、これまでにも『1次産業(生産)と3次産業(販売)が連携した生産直販』などは注目されつつも、産業分類の複合化として捉えられることはありませんでした。本来は一次産業(生産)×二次産業(加工)×三次産業(販売)=第6次産業ですが、一+二+三=第6次産業と考えるなら、生産直販は1×3=第三次産業ではなく1+3=第四次産業と呼ぶことに違和感は少なくなると考えます。産業分類の複合化は、単独で一連の活動をする場合と複数の企業が連携、協力した活動をする場合が考えられます。中小零細企業の場合、キャパシティの限界を考えるなら事業者の連携、協力を前提にした産業の複合化が今後注目されると予測されます。
今回の採択案の中で、『Blueberry Farm 呉のブルベリー観光農園』、『株式会社クレセントのサブスクシステム導入型レモン園地再生』、『やまもと有機菜園の6次化による地域農業のハブ化』の事業案は、新たな生産(養液栽培)、加工と販売、耕作放棄地の再生や6次産業化など産業分類をまたぐ多くのフェーズを含んでおり、複合的な事業案として選考委員を悩ませ、これまでに類をみない独自のアイデアと並々ならぬ熱意を感じました。また、『Shiki Farmのゲストハウス』は、古民家を再生した単なる宿泊施設ではなく、自家生産の農作物や柑橘類を使った飲食と商品開発、柑橘類の枝葉を使った草木染めの体験など個性ある内容の事業案となっています。
今回の選考委員会では、出席委員から公的な支援機関や他での事業化(商品化)に関する情報提供、『産』だけでなく『官・学』を含めた連携先の紹介などもありました。また、呉信用金庫理事長からは『金(融)』を含めた『産・官・学・金』の連携も提唱され、『産・官・学・金』の関係者が一堂に集う『グッドラック』の意義の大きさを再認識しました。大きな資本を持たない中小零細企業の『個』の力には限りがあります。『個』と『個』が連携、協力し『塊(かたまり)』を作ることで、より強い経営基盤を創り新規事業の実現に近づけると考えます。応募された事業者の皆さんはライバルですが、『グッドラック』の仲間でもあり、仲間との連携、協力は何よりも心強いと思います。
地域を活性化し元気をとりもどす『地域創生』は、行政頼みではなく事業者の皆さんが参画者です。事業者の皆さんの創意工夫と熱意は、産業分類の複合化や『産・官・学・金』連携による多業種の後押しも受けながら無限に拡がり、新たなビジネスチャンスを創り出していきます。
こうした事業者の皆さんの取り組みが、伝統を継承し持続可能で元気な地域社会を創り、呉地域の活性化につながることを期待します。
令和5年11月7日
選考委員長
松尾 俊彦(広島文化学園大学 名誉教授)



